人間と魚はどちらも背骨のある脊椎動物ですが、焼き魚を食べていると分かるように魚の背骨はほぼ直線になっています。
人間の背骨は魚のようにまっすぐではなく、前後にS字状のカーブを描いていて専門用語ではこれを生理的湾曲と言います。
詳しく見てみると、首の骨(頸椎)は前側、胸の骨(胸椎)は後ろ側、腰の骨(腰椎)は前側とたがい違いにカーブを描いています。
ファッション用語で定着している骨格診断もこのS字状のカーブの強弱に注目したものといえます。
なぜ人間の骨はカーブを描いているのでしょうか。
これは人間が2足歩行であることと大きく関係しています。
魚の背骨はほぼ直線ですが、両生類や爬虫類の背骨も極端な生理的湾曲は見られません。
哺乳類の背骨は生理的湾曲が出てきますが、2足歩行の人間ほどはっきりしたものは珍しいです。
もし人間の背骨が魚の背骨のように直線だったら、骨盤と腰の骨をつなぐ部分にかなりの負荷がかかり、折れてしまうこともあり得るでしょう。
つまり人間の背骨は上半身の重さを分散させてバランスを取るために、たがい違いにカーブしています。
よく「背筋を伸ばしましょう」と言いますが、背骨自体がそもそもまっすぐではなく、特に胸椎は後ろにカーブしているため、人間はもともと猫背に見られやすいということも知っておいてほしいと思います。