経営用語にブルー・オーシャン戦略という言葉があります。
他社と同じ市場で競争するのではなく、競争のない未開拓の市場で事業を展開するという経営戦略のことです。
ブルー・オーシャンの対義語はレッド・オーシャンで、血で血を洗うような競争の激しい既存市場を表しています。
血で染まった赤い海から戦いのない青い海に舞台を変えるのでブルー・オーシャン戦略と呼ばれています。
哺乳類の中には海に適応した種がいます。
代表的なのはクジラ類(クジラやイルカなど)と鰭脚(ききゃく)類(アザラシやセイウチなど)です。
これらの種族は元から海に住んでいたわけではありません。
クジラ類は偶蹄目(ウシ、イノシシ、カバなど)の中の原始的な種が海に進出したとされています。
鰭脚類は当院のブログにたまに出てくるイヌとネコの共通の祖先であるミアキスの流れを汲んでいて、特にイタチとは近い関係にあります。
もともと魚類が苦労して陸に上がって両生類、爬虫類、哺乳類と進化していったわけで、せっかく陸に上がったのに、また海に戻っていくのは奇妙なことのように思われます。
ですが、哺乳類は体温調節に優れ、大きくてとてもしっかりとした骨格を持っています。
イルカやシャチの骨格をみると魚のヒレのような前脚には指の骨がはっきりと残っていて、姿は似ていても魚類とは別の動物だと再確認できます。
魚類にもホオジロザメのような攻撃的な種はいますが、哺乳類はほぼ一方的に魚を餌として取ることができます。
つまり、海に還った哺乳類は陸上での他の動物との競争を避けて未開拓の海に向かったわけで、動物版のブルー・オーシャン戦略といえるのかもしれません。
動物は長い年月をかけて、いかに自分の種を反映させるかという過酷な競争を生きています。
海に戻っていった哺乳類はその競争の中でとても大胆な選択をした種だと思います。