「腰痛の原因はストレスである」という意見をたまに耳にします。
この考え方はストレスを受けることで脳の神経伝達物質であるドーパミンが減ってしまうことを根拠にしていることが多いようです。
ドーパミンは快感や意欲を与える役割があり、ストレスとは真逆の関係にあります。
そしてドーパミンは日常的にストレスを受けることで産生量が減ります。
ドーパミンが減ることで痛みに過敏になり腰痛を訴えるという理屈です。
この説では腰痛は腰の痛みよりも、その痛みを脳がどの程度強く感じるかを重視しています。
確かにそういった側面もあると思いますが、腰痛の原因をすべてストレスに求めるのはどうかなとも思います。
重いものを持ち上げて急にぎっくり腰になった場合、これは明らかに重いものが原因で起きた痛みであって、ストレスや脳の感じ方が関与する余地はないでしょう。
また、ストレスの結果がなぜ腰痛に限られるのかという疑問もあります。
ストレスだけが原因であるならば、手首の痛みや膝の痛みが起きてもいいはずですが、腰痛だけに限られるのは不自然です。
これは腰が痛みを引き起こしやすいポイントであるという構造的な問題と関わっているからに他なりません。
もちろんストレスによって身体が痛みに過敏になることは間違いないですし、ストレスとどう付き合うかは健康にとって大きなポイントです。
ただ、分かりにくいことを説明する上でストレスは便利な言葉であることも確かですし、ストレスに原因を絞ってしまうのはどうかなと思います。