腕の骨格を見てみると上腕は上腕骨1本で構成されているのに対して、前腕は尺骨と橈骨の2本の骨で構成されています。
脚も同様で大腿部(太もも)は大腿骨1本で、下腿部(すね)は脛骨と腓骨の2本で構成されます。
腕も脚も体幹部から遠い部位の骨が2本になっています。
この理由は何でしょうか。
骨が1本と2本では、当然2本の方が精密な動きができることになります。
体幹から遠いということは外部により近いともいえるわけで、外の環境との関わりが多い分、より細かい動きが必要になります。
前腕を構成する尺骨と橈骨は、交差することで前腕を内側にひねる動き(回内)を可能にします。
この前腕を内側にひねった状態は食事やデスクワークなど日常で非常によく使う動きです。
もし前腕の骨が1本しかなかったら、腕をひねることができず、肩や身体ごと傾けなければいけなくなるかもしれません。
これに比べて、下腿の脛骨と腓骨は前腕ほど細かい動きはしていませんが、こちらは体重を支えるために2本の骨で強度を増している部分もあるような気がします。
尺骨と橈骨は対等な関係かというとそうでもなく、前腕をひねる動作では尺骨を軸にして橈骨が大きく回ります。
また上腕骨との関節(肘関節)も尺骨の役割が大きいです。
どちらかというと尺骨がメインで橈骨がサポートするというイメージに近いです。
尺骨は机の角やいすの肘掛けに圧迫されてストレスを受けやすい骨でもあります。
短時間なら問題ありませんが、日常的に同じポイントに長時間圧迫を受けていると骨であっても歪みます。
尺骨は肘関節と手関節の両方に関わっているため、尺骨が歪んで短くなると、橈骨と長さが合わなくなり、肘や手首のトラブルになったり、肩こりの原因になることもあり得ます。
デスクワークなどでいすに座っている時間が長く、前腕が強く圧迫されている場合は、いすの高さを変えるなどして、前腕が1点でストレスを受けないようになるべく広い面積で圧力を分散することを意識してみてください。