だれにでも苦手な人はいるものですが、なぜその人が苦手なのかというと理由は様々です。
「悪口を言われた」といったような原因がはっきりしている場合もありますが、「何となく苦手」ということもありますよね。
苦手な人の正体について、心理学者のユングが提案したシャドウという元型から考えてみると、発見があるかもしれません。
ユングは世界中の神話や伝承と統合失調症の患者さんの言動に共通点があることに注目して元型(アーキタイプ)という概念を提唱しました。
すべての人間には共通するイメージのパターンのようなものがあって、そのために神話や伝承や個人が見る夢には一種の法則性があるという考え方です。
元型にはいくつかの種類があり、リランテ整体院のブログでは以前にトリックスター元型について触れています。
シャドウは元型の1つで、「自分が受け入れたくない自分」を表しています。
例えば、神経質で几帳面な人がいるとします。
この人がとても大雑把でいい加減な知人に激しい不快感を持っているとしたら、その神経質な人の中にも実はとてもいい加減な部分があるのかもしれません。
自分にはできないいい加減な生き方をしている知人に対して、憧れのような嫌悪感を持っている状態です。
シャドウは普段、自分が無意識に抑え込んでいる影の部分であって、このように他人に投影されることが多いです。
ユングやフロイトの心理学は精神分析学といわれますが、精神分析学では「無意識の意識化」を重視しています。
「無意識の意識化」とは普段無意識下に抑圧している内容を意識することで、悩みが解決したり、症状が改善するという考え方です。
シャドウは、自分が苦手な人を手掛かりに自分が無意識下に抑え込んでいる、普段意識されない自分について考えるヒントを与えてくれます。
几帳面な人でもたまには気を抜かないと疲れてしまいます。
逆に大雑把な人でも、慎重に作業しなければいけない時もあります。
自分のいろいろな側面を発見することが、生活を豊かにするヒントになるかもしれません。